2023年10月7日 – 東かがわ市引田地区は、IoT技術の力を借りて、カキ養殖の新たなフロンティアに挑む。この月から始まる試験事業では、水産ベンチャーが収集した水質データや生育状況を分析。必要な作業指示は、専用アプリを通じて漁業者に伝えられる。
試験事業は、市や引田漁業協同組合、水産ベンチャー「リブル」、徳島大学などの協力のもと、安戸池でスタート。特筆すべきは、従来のロープでの養殖ではなく、新たな「シングルシード式」という手法でカキを育てる点だ。
漁業という産業は、多くの地域で高齢化が進み、作業のハードさが課題となっていた。このプロジェクトは、その重労働からの脱却と、新しい養殖の技術を市内に導入する目的で始まった。
この取り組みの中心となるのは、東京都の水産ベンチャー「MizLinx」によるセンサー技術。ブイに取り付けられたセンサーが、水温や水質のデータをリアルタイムで収集。このデータはリブルと徳島大学で解析され、最適な生育環境の提案が行われる。
リブルの高畑拓弥取締役は、カキ養殖の可能性を大いに信じている。「カキは飼料費がかからず、生産効率の面で非常に優れている」と彼は述べる。
東かがわ市のビジョンは、このプロジェクトが地域の漁業者に新たな働き口を提供するだけでなく、若い世代が漁業に新たな可能性を見いだすキッカケとなることを期待している。